文字サイズを標準にした結果...小さすぎる。
前提として私は太鼓さん次郎というコミュニティで現状最も優勝回数が多い制作者だ。
実に不名誉な称号だが、こういった偉そうな記事を書くには実におあつらえ向きである。
もっとも、今の私は隠居生活を送っているだけの老害な訳だが、
そんな私から新進気鋭の皆様へ伝えておきたいことがある。
優勝=凄い譜面とは限らない ということだ。
結論から言うと、本当に凄い譜面とは"人の心に残る譜面"であると私は考えている。
優勝したからと言って、その譜面は数年後に話題に挙がっているだろうか。
今でも誰かの指針であったり、定期的にプレイをして貰えているだろうか。
技術のアベレージは今の方が確実に上なのに、
それでも昔の譜面が定期的に話題に挙がるのは何故だろうか。
決まっている、最初にやったやつが一番凄くて一番人の心に残るからだ。
そこには理論も順位もクソもない。圧倒的なオリジナリティの暴力である。
故に私は、自分の作譜力が高いとは微塵も思っていない。
それは自分の勝ち方が常に大衆受けを前提に考えられていたからだ。
流行りの楽曲や譜面傾向、各製作者の技術や癖、
その時々で良し悪しとされる技術の線引きなど、
想像できるあらゆるデータを大会譜面や製作者との交流から参照し反映させてきた。
自分の得意な分野を有利にするため、
いわゆる"政治"というものにさえ手を付けることもあった。
結果を残している以上、確かにこれらも作譜力というカテゴリの一つではあるかもしれない。
しかし、それは既存の技術を消費するだけであり、
生産性のあるような真に「創作」と呼べるものではない。
それ故に、私の経験上どんなに技術を昇華させたとしても、
オリジナルを作らない限り人々の心に残る譜面にはならなかった。
自分の好きな譜面からインスピレーションを受けることは悪いことではない。
むしろ良譜面の基盤が固まっていないうちは、作譜力を上げるために最も必要な工程だと考えている。
ただ、それはあくまでも一定ラインまでの話だ。
ある程度結果を残せるようになったのなら、次の工程に進まなくては確実に停滞する。
その工程こそがオリジナリティの模索であり"人の心に残る譜面"を作るために必要なのだが、
私は気付くのが遅すぎた。
そして私より確実に「創作」の才能があったであろう人たちは、
その殆どが模索の最中に姿を晦ませてしまった。
さて本題に戻ろう。
少し考えれば当然のことだが、「優勝するかどうかなんて概ね運ゲー」だ。
前提として大会の殆どは相互評価形式で、実力問わず参加の有無は自由である。
評価を行うのは人間であり、明確な点数の基準は存在しない。
かつ参加者数やチームの譜面数に応じて配点の比重が異なる。
また、譜面の評価順や楽曲及び傾向の被り等でも多少なり影響が出るとされている。
この一例だけを見ても創作譜面への評価が如何に曖昧なものかと痛感する。
もちろん優勝することはめでたいし、喜ばしいことだ。
その実績があることによって生まれる影響も多分にしてある。
しかし、優勝という結果に譜面の価値を見出すことへは懐疑的にならざるを得ない。
そもそも最高点やお気に入りを付けた譜面が、結果に直結することの方が珍しいだろう。
では何故そこまで曖昧な評価で決まる大会が、今の今まで生き永らえてきたのだろうか。
これには様々な要因があると思うが(参加者全員がフェアである・大会を通しての交流の楽しさ・実力差があるからこその学び・今後共通の話題に挙げやすい...etc)、
創作という観点から見た時、
それは自己表現の手段であり、評価を行う第三者がいなければ成立しないからだ。
参加者全員での相互評価という形式は、その点に於いて非常に効率的である。
なお先ほど「概ね」と言ったが、
唯一の例外はそれら全てを覆し圧倒的な優勝をもぎ取る神譜面だ。
経験上、その神譜面は必ず突出したオリジナリティがあり、そして人の心に残る譜面である。
経験の無い者からすれば「優勝」という肩書きは甘美な響きであるかもしれない。
しかし、勝つことへ執着すればするほど、負けた時そこに残る虚無は大きくなる。
好意的な感想を貰ったとて、「ではなぜ勝てなかったのか?」という事実が重くのしかかる。
これではやっていることがハラスメントである。譜面ハラスメント。なんだそれ。
つまるところ、創作譜面に於いては作る立場であろうと評価する立場であろうと、
副次的な結果を先に求めること自体ナンセンスである。
念のため補足しておくが、もちろん自分自身が優勝したら死ぬほど喜んで良いし、
自分の最推しが優勝しても(しなくても)死ぬほど褒めちぎって良いだろう。
ただ、優勝しなければ意味が無いといった思考や、優勝に対する過剰な信頼があるようならば、それは確実に身を滅ぼすことになる。
昔の私のように。
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余談
譜面への向き合い方は千差万別だと思いますが、自分の芯だけは変えずに頑張って欲しいなーという老害の長い独り言でした。
因みに今でこそ実績のある私ですが、本気で努力しても大会初優勝までには丸2年掛かっていますし、その間に優勝争いで5回負けています(準優勝止まり)。
大会に参入して暫くは全体順位の半分も行きませんでしたし、自信のある譜面が奮わず自他責に苛まれることも多かったです。
当時が大魔境時代だったということもありますが、優勝するのってそんなに簡単じゃないんですよね。
それでも大会に出続けたのは、ひとえに「楽しいから / 面白いから」に他なりません。
譜面を作る根本的な面白さや結果発表時の緊張感は中々味わえるものではありませんし、
何より次郎勢との交流自体がとても楽しいものです。
まぁ今でこそ衰退期真っ只中な次郎界隈ではありますが、
まだまだ活気のある界隈も存在するみたいですし。
私も老害なりにその推移を見守っていきたいなと考えたところで、
今日のお話を終わりたいと思います。
じゃあここまで読んでくれた新進気鋭の物好きお兄ちゃん達には、
譜面作りが上手くなる最短の方法を教えちゃうよ!
・貴方の思う一番作譜力の高い人 / 一番好きな譜面を作る人と仲良くなりましょう
2025年7月5日土曜日
老害の思う創作への価値
2025年1月13日月曜日
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